私とアレクサンダー・テクニークの出会い
アレクサンダー・テクニークは大変幅広いワークなので、学んでいる方、教えている先生は色々なバックグラウンドをお持ちです。
俳優として演技を学んでいる方、スポーツを楽しみ、指導されている方、ご自身の心身の健康に興味を持っている方、私のように音楽に活かすことに興味を持って学ばれている方や、それらに特化したレッスンを提供している先生など、様々です。
一人一人が違う興味や望みを持って学び、教えてているので、生徒として得るものや教師として教えることにもその方なりの個性が反映されているように思います。
私も教師になりたいと思い学び始めましたが、以下そこに至った道程を省みて、自分のなりたい教師像を見直してみたいと思いました。
私は趣味の楽器(テューバ)の演奏を通じてアレクサンダー・テクニークと出会いました。
身体の小さい私にとって、重たいテューバを吹くとつい力いっぱい楽器を握り締め過ぎてしまったり、吹いているうちに背中にぎゅっと力が入ってしまい楽器の響きも締め付けられるようになってしまうことは長年の悩みでしたが、反面テューバのような重たい楽器を吹くうえではこれは仕方のないことなのかなという諦めもあり、悩み半分、諦め半分でこの重たい楽器とつき合っていました。
そんな私がアレクサンダー・テクニークのレッスンを受け始めたきっかけは、ホルン奏者であり、アレクサンダー・テクニークの先生でもあるバジル・クリッツァーさんのブログを読んだこと。
アレクサンダー・テクニークは音楽家の間では比較的良く知られていますから、私も名前くらいは聞いたことはあり、実は学生時代に音楽家に向けたアレクサンダーの本を一冊読んだこともあったのですが、バジルさんのブログに書いてあるアレクサンダー・テクニークは、私の知っていたアレクサンダー・テクニークとは随分と印象が違いました。
端的に言って、バジルさんのブログで紹介されていたアレクサンダー・テクニークの内容は私が読み知っていたものよりずっと具体的で、情報量も多く、これはテューバの演奏のヒントになるかもしれないと思ったのです。
(私がそれまでに読んだアレクサンダー・テクニークの本は、図が豊富で身体の仕組みについては分かりやすく説明されていたのですが、呼吸や姿勢の話、それに関節や筋肉の仕組みに関する話が中心で、金管楽器に特化した内容ではなかったし、文章が少なめだったので、正直言って当たり前のことが書いてあるだけかとしか思えず、実際これを演奏にどう活かしたら良いのかも分からなかったのです。)
それに、実はその頃きつい本番が続いたこともあってか些か演奏の不調に陥っていたこともあったので(今振り返るときつい本番に加えて、私生活の忙しさから疲労が溜まっていたことが一番の原因かと思えるのですが、当時は上手く休養もとれておらず、結構深刻に悩んでいました)思い切ってこのレッスン受けてみようと思い体験レッスンに参加したのでした。
しかし、実際張り切って楽器を持ってスタジオを訪れてみると、この初めてのレッスンが思っていたのとはまるで違っていて、頭の中は疑問符だらけになってしまいました。。。
頭と脊椎の関係についての話を聞かされたり、椅子に座って先生に手を置かれたり、今だから白状すると「これは違うところにきちゃったかなぁ」と内心戸惑ってばかりで(苦笑)正直レッスンの効果や内容も今ひとつピンとこないものでした。
ところが、その日のレッスンの最後になって初めて楽器を吹く様子を見てもらい、それまでのようにバジルさんに手をおいてもらって、言葉でも説明を聴きながらテューバを吹いてみると、何か変だけど何故かラクに楽器が吹けたのです。
(ところで、この「なんか変」な感じというのはアレクサンダー・テクニークのレッスンではとても良くあることらしいです。人間の感覚というのは習慣にとても強く影響されているので、習慣から離れる新しい可能性に触れると「なんか変」と感じたり、かえってやりづらい気がしてしまったりするようで、アレクサンダー自身はこれを指して「感覚評価はあてにならない」と自らの教えの原理に挙げているくらいで、アレクサンダー・テクニークを学ぶ上では結構重要なポイントでもあるようです)
これは大変不思議な体験で、これを経験して、正直このレッスンが役に立つのかどうかまだ分からないけど、ここには何かあるかもしれない。と感じるようになり、定期的にグループレッスンに通い始めました。
こうして半信半疑で始めたアレクサンダー・テクニークのレッスンでしたが、繰り返しレッスンを受けるうちに、身体はどんどん楽になり、やがて身体の使い方だけでなく、心の在り方にもこのワークは役に立つということを実感をもって理解するようになり、また楽器の演奏だけではなく日常生活でも色々な変化を発見するうちに、この「わけのわからなかった」ワークが私もすっかり大好きになってしまいました。
毎回のレッスンが大変ユニークで面白い(グループで学ぶのは、最初は何だか恥ずかしかったりもするのですが、実はとても楽しいのです!)と思うようになりましたし、日常生活で手応えを感じることもありましたから、段々と欲も出て、このワークを自分も教えられないだろうかと大胆にも思うようになりましたが、正直にいえば私のレッスンの学びは三歩進んで二歩下がるというか、「分かった!」と思うとまた「よく分からない…」に戻る繰り返しが続いていて、我ながらマイペースで呑気にやっていましたから、やはり難しいだろうなという気持ちもありました。
しかし、様々な先生のレッスンを体験するうちに、上達することだけではなくて、もしかしたらそれ以上に、上手く出来ない時に自分を許すことこそこのワークで最初に学ぶべきことなのではないかと感じるようになりました。すると自他共に認めるスローラーナーの私だからこそ、自分に気づいて、それを許しながら、ゆっくりと学ぶことを教えられるのではないかとも思えてきたのです。。
そうして一大決心をして、教師養成コースに入学して教えるための学びを始めました。
ずいぶんと長く書いてしまいましたが、こんな風なあれこれを経て、私はアレクサンダー・テクニークに出会い、学び始めました。
きっかけにあったのは楽器の演奏に活かしたいという望みでしたが、学ぶにつれてこのワークの奥深さを感じるようになり、今は芸術やスポーツの技法としてだけでなく、日常の細やかな場面でアレクサンダーを活用することをお伝えできるような先生に(あくまで今現在の私の望みですが)なりたいなぁと思っています。
何しろ大変守備範囲が広いワークですから、少しくらい欲張ってあれやこれやに目を向けてみたいと思っているのです。
先生になるという望みへの長ーい道程を考えると正直かなり気が遠くなるのですが、これから色々とレッスンや暮らしの中で学んだことを、ゆっくり書き綴っていきたいと思います。
先生になるという望みへの長ーい道程を考えると正直かなり気が遠くなるのですが、これから色々とレッスンや暮らしの中で学んだことを、ゆっくり書き綴っていきたいと思います。
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