音楽を楽しむのって難しい?(ワクワクを忘れていませんか?)

不精なので、久しぶりの投稿になってしまいました。。。そして思い切って、この頃音楽について思っていることを書いてみます。

音楽に出会う経緯、きっかけ、音楽との付き合いって本当に人それぞれですが、どんな形であっても音楽を続けている人はどこかで音楽の「楽しさ」を知っているから続けられるのかなと思います。

こう書いてしまうと当たり前だし、音楽というのはそもそも「音を楽しむ」ことから始まるわけですが、実は音楽を楽しむというのはそれほど簡単ではないなと長く付き合っていると本当に思います。それも、実は音楽が大好きで、音楽に一生懸命な人ほど時には「楽しむ」ことが難しいのではないでしょうか。

私自身も音楽は大好きと自信を持って言えるのですが、では楽器を吹いていていつも楽しいかったかといえば、正直楽しさ半分、苦しさ半分という音楽人生でした。

大好きな音楽をしていて、どうして楽しくないことがあるのか。

これはなかなか言葉では説明しづらい一方で音楽を長く深く勉強されている方ほど伝わりやすいのではないかと信じているのですが、とってもざっくりと言ってしまうと「上手に演奏できないのが嫌だから」ということに尽きると思います。

音楽に長く接していると上手に演奏したいと思うのはとても自然なことです。出せる音が増えて、吹ける曲が増えればもっと色々な楽しみが見えてくるし、特に管楽器については「これだ!」という音色が掴めた時は本当に自分でも息を飲むほど美しい響きを味わえることがあります。

「上手に演奏できるのが嬉しい」というのは紛れもない真実ですし、これは音楽を続ける大きなモチベーションだと思います。でも、その反意語が「上手に演奏できないのは苦しい」になってしまって、その思いにあまりに強く囚われてしまうと、音楽に接することがただただ苦痛になってしまうことがあります。私もそうでした。練習の成果が実感出来たとき、自分でも満足する演奏が出来たときたまらなく嬉しいと感じる一方で、ちょっと思うように楽器が吹けなかったり、技術的に強く壁を感じてしまったりすると「あー。酷い音だなぁ」と自分に悪態をついてしまったり「あー。下手くそ!!」っと思わず本当に口に出てしまったりすることが、白状すると今でも時々あります。

「上手に演奏できる自分」を求めるあまり「上手に演奏できない自分」を思い切り叩きのめしたくなってしまうんですね。けれど、そんな気持ちに囚われている時はついつい自分のやっていること全部を否定したくなってしまったり(本当は全部が間違っているわけではないのに)、自分ができていることではなくてできていないことばかりに目がいってしまったりして、上達する以前に今の自分の足場を壊してしまいかねない嫌なスパイラルに陥ってしまいがちです。それになにより、こういうプロセスが続くと「音楽」という言葉の持つ「音を楽しむ」という行為からどんどん離れていってしまいます。これが続いて

「音楽が好き!楽しい!」→「もっと上手に演奏したい!」→「思うように演奏できない。」→「音楽が嫌い。つまらない。」

になってしまっては本当に悲しいことですし、音楽を楽しむために上達したいのに、上達したいがために音楽が苦しくなってしまっては本末転倒です。。

ただ、「苦しんではいけない」というのも実は自分に対する押し付けになるかもしれません。音楽を続けていれば本当に色々なことがあります。時には泣くほど悔しい思いをしたり、どうしようもなく絶望してしまうこともあるかもしれません。嬉しいこともあれば苦しいこともあるのが音楽ではないかと思います。そういう自分の気持ちを否定するのではなく、受け入れて、そんな苦しい時にあっても「音楽を楽しむ」を貫くこと。これこそ「音楽」という言葉に込められた一番大切な目標かもしれません。

そう考えると「楽しむ」というのは実は本当に見失いやすいもの。どんな素晴らしい演奏家にとっても、あるいは素晴らしい演奏家であるほど難しいことなのかもしれません。「初心忘れるべからず」という世阿弥の言葉がありますが、音楽家にとっては(本来の意味とは違いますが)音を出す純粋な「楽しさ」こそ忘れてはいけない初心ではないかと思っています。

音楽を楽しむこと。とても当たり前のようですが、忘れないように心がけたいとふと考えさせられました。

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ちょうどこの記事を投稿した後に音楽仲間の友達とお話ししていてとても素敵な気づきがもらえました。

子育てをするようになった人が小さい子供を見ていると、初めて観る恐竜、初めて食べるおやつ、沢山の「初めて」に囲まれて、いつも本当にキラキラと楽しそうな気持ちに溢れていることに驚かされることと思います。

けれど、こんな瑞々しい感性って子供たちだけのものでしょうか?私達大人だって、いつも新しい気持ちでいろいろな出来事を受け止めることはできるはず。芸術が与えてくれる感動の根って案外こういう単純なワクワクにあるんじゃないでしょうか?

私達は音楽が当たり前になりすぎて、ついつい忘れてしまいがちかもしれないけれど、音楽って本当はいつでも初めての驚きやワクワクが沢山詰まっているはず。
しゃかりきになりすぎず、ただ正面から受け止めることを忘れなければ、音楽はいつだって楽しさで一杯なんじゃないかと思いました!
初めて音を出した時のワクワクを忘れずに演奏したいですね^_^!

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