感覚の再認_DIALOG IN THE DARK_体験
DIALOG IN THE DARKいうイベントをご存じでしょうか。
直訳すると「闇の中の対話」。その名の通り本当の真っ暗闇の中で、見知らぬ人も含めたグループが様々な体験を通じて交流するというイベントです。
http://www.dialoginthedark.com/
ワークショップと称されていますが、実際には、もう少し気軽なエンターテイメントの趣が強かったと思います。
参加者は最大で8名のグループを作り、アテンド或いは「暗闇のエキスパート」と呼ばれる視覚障害者のスタッフにサポートしてもらい、約90分間、純度100%の本当に何も見えない暗闇の中で歩いたり、遊んだり、さらには簡単な飲食を体験したりします。
以前から大変興味はあったのですが、先日ついに初体験してきたこのイベント。もちろん非日常的な体験として、純粋に楽しめるものですが、私にとってはたくさんの気づきのある刺激的な学びの場でもありました。
以下、気づいたことや感じたこと、体験レポートしてみます!
1.暗闇の中で「繋がる」不思議
DIALOG IN THE DARKでは参加者は任意の8人グループを構成するので、全くの初対面の人とも暗闇に入ることになります。もちろんサポートしてくださる暗闇のエキスパートも初めてお会いする方です。
完全な暗闇。。。90分間何も見えない中で見知らぬ人達と一緒に行動する。ちょっと不安になったりするのではないでしょうか。正直私も少し不安だったり、暗闇の中で顔が見えない声だけの自己紹介をしたときは少しぎこちない気分になったりしていました。
ところが実際に暗闇の探検が始まると、見知らぬ人同士のグループでも思いの外すぐに打ち解けて、気を許すことができるのでした。
純度100%の暗闇に入ると、視野が暗闇に慣れるということすらありませんから本当に真っ暗な闇の中に入ります。はっきり言って足下も手元もおぼつかないので結構恐いのです。ものを掴むにも、道を歩くにも、ましてや狭い橋を渡るには仲間のサポートが必要なので、参加者は色々な場面で仲間とペアを組んで声を掛け合ったり、手をつないだりして互いを助け合うことになります。
これは私個人の感想ですが、視界が閉ざされることで、私は普段より圧倒的に人の助けが必要な存在になりました。ところがそうして感じる心細さがある一方で、今度は自分が積極的に人に助けを求められるようになったことも感じたのです。
暗闇が私の力を奪った一方で、私に人に助けを求めることを許してくれたかのようでした。
実際、体験が終わる頃には暗闇のエキスパートの方が本当に頼もしく思えるようになり、一緒に暗闇を歩いたメンバーにも何度も助けられて助け合ったという不思議なつながりが感じられるようになりました。
こんな風に誰かに助けられること、誰かを助けることを学べる機会はなかなか貴重なのではないでしょうか。
2.暗闇に溢れる「刺激」の不思議
これは多くの人に共通する体験かもしれませんが、視覚を奪われることで、聴覚・触覚・味覚・嗅覚が普段の生活以上に刺激に対して敏感になり、色々な刺激が実に鮮やかに伝わってくることが分かります。
私自身は特に触覚が普段より敏感になることに驚きました。
何度も何度も触ってきたはずの野菜、果物、家の畳や柱など、暗闇で気づかずに触れると、本当に異質に感じられてギョッとさえします。いつも触っているテーブルとは明らかに違って感じられます。
普段
「触る」
という行為が「習慣」になっているのが、暗闇の中でリセットされるようでした。。。こう書くといかにもですが、そう、アレクサンダー・テクニックのレッスンの体験にちょっと似ているのです!
私も、楽器のレッスンを受けた時に、ハンズ・オンしてもらいながら本当に繊細に楽器を持って楽器を構えるといつもと少し違って感じられるという体験をしたことがあります。先生は「本当の意味でモノに触ってみて」と説明してくださいました。
それにチェアワーク(?)も暗闇では体験できます。完全な闇の中で公園のブランコに座ってみる、ベンチに座ってみる。色々な場所に座りますが、視界が閉ざされていると椅子の高さが分からないので、適切な力も分からず、見事に「座りすぎ」で椅子にぶつかりそうになったり、変な空気椅子になってしまったりします。
でも、手で探って、自分の身体全体に配慮するうちに、適切な力加減で椅子に座れるようになります。
私達の色々な習慣や不必要なやりすぎは視覚の情報がトリガーになっているものも少なくないのかもしれません。暗闇の中に入ると、そういった刺激から離れることで別の刺激を多く感じ取れるようになり、習慣から離れた新しい感じ方、新しい力の使い方のきっかけを得られるかもしれませんね。
というわけで、DIALOG IN THE DARK、実はアレクサンダー・テクニックを学んでいる方に大変オススメです!
日本でもこれまでに約10万人が体験しているそうです。
ちょっと変わったエンターテイメントとして、或いは不思議な学びとして、是非体験されてみてはいかがでしょうか^ ^
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