テューバのためのアレクサンダー・テクニーク〜椅子に座ろう_後編
〜前回記事からの続き〜
(といっても、これまでの話も私にとってはアレクサンダー・テクニークの話なのですが)
冒頭、
「今日はこれからどうやって座ってみようかなー?」
という問いかけについて触れましたが、このように問いかける時に、少し間を置いて、自分の頭が自由に動きたいように動けるように、首を楽にしてみようと自分に声をかけてから問いかけてみて欲しいのです。そしてさらに、
「首が楽で頭が自由に動けて、身体全部がそれについて動けて、○○出来るように座ることができる」
と自分に「おまじない」をかけて座ってみて下さい。おまじないは頭の中で唱えでも良いですが、最初は実際に声に出して、自分に話しかけるように唱えた方が上手くいくかもしれません。
「○○」の部分はどんな言葉でも構いません。出来るだけ具体的で、自分の肉体の構造に沿った言葉の方が良いでしょう。
「楽器を楽に支えられるように」でも良いですし、「股関節や肘、腕の関節がが自由にダイナミックに動けて、楽器と自分の位置、角度の関係がぴったり寄り添いながら支えられるように」はさらに良いと思います。「息がたっぷり吸えるように」でも良いですが「気道が確保されて、息が肺に入って、肺が広がって胸郭も広がって、腕もそれに沿って、邪魔にならずに広がるように」はもっと良いでしょう。
さてこの「おまじない」で何をしているかというと、アレクサンダー・テクニークの最も重要な原理で、創始者F.M.アレクサンダーの最大の発見でもある「頭と脊椎の自由な関係」(この関係性をプライマリー・コントロール("Primary Control")と言います)が機能するように言葉で自分の心身に働きかけているのです。
アレクサンダー・テクニークの創始者、アレクサンダー氏はとても大きな発見をして、その発見を心身の使い方に応用する術を体系化し、今日アレクサンダー・テクニークと呼ばれている技術を生み出しましたが、その要点はとてもシンプルで、一言で言うと、「頭の動きが全身の動きに決定的に影響を与える」というものです。
そして、アレクサンダー氏の発見によれば、実は私達の殆どが、自分が「何かをしよう」と身体に指示を出そうとするその瞬間に無意識の緊張から習慣的に首をギュッと固めて自分の頭を動けないようにしてしまい、そうすることで自分の全身を動きにくくなるように、自分で自分に、ブレーキをかけているというのです。(緊張や焦りで首がギュッとなるというと、もしかして身に覚えのある方もいるのではないでしょうか)
その緊張のブレーキを「抑制」("Inhibition")(これもアレクサンダーの重要な用語です)して、やりたいことを身体を自由に使って行うために、言葉の助け(あるいは更に有効な教師の「手の助け」)を使って自分の心身が働きやすい適切な「方向付け」("Direction")を行うのが、アレクサンダー・テクニークの基本的な使い方です。
さあ、いよいよ実践です。試してみましょう。
①これから楽器を演奏しようという自分の心と身体ににスペースをあげて
②自分がどんな風に演奏したいのか、そのために「どんな風に座ってみようかなー?」とちょっと気楽に探究心を持って自分に問いかけてみて(あなたの望み、願いを自分自身にもう一度教えてあげて)
③「頭が動けて、身体全部がそれについて動けて、○○出来るように座ることができる」とおまじないを唱えて座ってみる(あなたがやりたいこと、望んでいること、どんなことでもOK!但し、身体の構造、身体の現実に逆らうことはできませんね)
どうでしたか???
いつもより楽に座れた気がした方、いつもより息が吸いやすくなった方、腕が少し楽に伸ばせるように感じる方、なんだかいつもより視界が広くのびのび椅子に座れた気がした方etc.、おめでとうございます!早速アレクサンダー・テクニークを使えましたね。そこから楽器を構えてちょっと吹いてみると、いつもと音色も変わっているかもしれません。
変化が感じられない方、よくわからない方も焦らないで何度かじっくり試して見てください。自分の変化を「感じ取ろう」として探すことに夢中にならないでください。身体の変化は感覚だけでははっきりとは感じ取れません。そうではなくて気長に「観察」しようと思って試してみましょう。自分に時間をあげることも忘れないで。
それと、「良い結果」を期待し過ぎて頑張らないで、「どんなことが起こるかな?」と好奇心・探究心を持って試してみましょう。ほんの僅かな違いでも、違いがはっきりと分からなくても大丈夫。小さな違いが積み重なって大きな変化につながるのです。
大切なのは実践です!のんびりゆっくり何度も何度も試してみましょう!しつこいですが、何度試す場合でも、毎回どうやって座ってみようかな?の探求を忘れずに!!
興味が湧いてきたらどんどんやってみてください。
感想やコメント、是非お待ちしております!
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