静けさを聞く〜トミー先生のレッスンから
アメリカから来たトミー・トンプソン先生とのレッスン最終日、テューバの演奏をレッスンして頂きました!
いつものように吹いた私の演奏を聴いてから、トミー先生は
「今度は音楽をすることに集中して」
という趣旨のことを仰ってから私の肩や胸、額にそっと、そしてとてもゆっくりと触れてくれました。
トミー先生は本当に繊細なタッチでいろいろなことを伝えて下さるのですが、この時私が感じたのは自分の身体の中の「静けさ」でした。
先生がゆっくりと触れていくと、自分の身体がびっくりするくらい静かになっていくことが分かります。
実際に、トミー先生は繰り返し「タッチで局所的な筋肉の緊張・収縮を解放している」と説明されていましたが、このタッチの感覚は、まるで身体の中の緊張の「ノイズ」が次々と消えていって、身体の中に静けさが広がっていくかのようでした。。
こんなに静まってしまって楽器が吹けるだろうか??
そんな風に思うくらい、自分の身体が静まっていくのです。しかも、「もう吹いても良いですか?」と思わず焦る私に「まだ待って」と言って、さらに静かなところに連れていかれます。
「さあ吹いて」
と許された頃にはまるで自分の中身がすっぽりと抜けてしまったような不思議な気分だったのですが、さらに不思議なことにはそんな空洞のように静まった自分の中に、音楽をするイメージが驚くほどはっきりと浮かんでくるのです。
普段演奏する時の「考え」とはまるで違うのです。もっと明晰なのですが、言葉にはなりません。しかも、その言葉以前のような「考え」に従ってただ演奏してみると、驚くほど積極的に自分と楽器が協力して演奏出来ていることが分かります。
楽器がこんなに助けてくれるのかー
というのが一番の驚きでした。何だか、いつも自分は「何か」をしようとしていて、楽器と喧嘩していたように思えたのです。自分が静まり、やりたい音楽が本当に明晰になってくると、楽器はとても力強く演奏を助けてくれます。
自分がしていることを止めると、自分が本当にやりたいことが突然浮かび上がってくる。何だか禅問答のようですが、アレクサンダー・テクニークはやっぱりいつも何かを止めることから始まるということを改めて学べたレッスンでした。
音を出すその前に、ゆっくりじっくりと自分の中にある「静けさ」に耳を傾けてみる。自分の中の本当の静けさに触れてから楽器にもう一度触れてみると、いつもとずっと違う気づきがあるかもしれません。
ぜひお試しください(^_^)
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