聴衆と繋がる

「音楽を表現する」ために必要なこと。
というテーマを前々回前回と考えてきました。

「場面をイメージする」ことには取り組んでみて頂けたでしょうか。

楽譜をしっかりと読み、音楽の持つ雰囲気を感じ取って、それをさらにもう一つ明確にして具体的な「場面」をイメージしてみる。丁寧に楽譜を読んで、その上で自分の想像力をしっかりと働かせるのです。

こう考えると大変なことに思えるかもしれませんが、表現するためにはぜひ取り組んでみてもらいたい、価値のあるプロセスです。「やらなくちゃ」という義務感ではなくて、そうして場面を思い描く自分の時間を楽しんで取り組んでみて下さいね。

さて、今回さらに探求してみたいのは、演奏家の前に居る「聴衆」との繋がりです。

当たり前のようですが、音楽という表現が表現として成立するには演奏する人間と、それを鑑賞する人間が必要になります。

これは実は音楽に限らずあらゆる芸術行為に当てはまる大原則ですが、音楽のように、実際にリアルタイムで作品をお客さんの前で作り上げる芸術であればなおさら、演奏家と聴衆の間の関係性が作品の質に強く影響してしまいます。

もう10年近く前ですが、私も実際に遭遇した演奏会でのこと。それは大変高名な海外の管弦楽団のアンサンブル・コンサートだったのですが、とても残念なことに何故か開始早々から最前列で居眠りをしている人達がチラホラといました。

舞台にいる演奏家にはこういうお客さんの態度が実は意外なくらいに良く「見えている」のです。そしてこういう嫌な関係はあからさまに演奏に影響するもので、案の定プレイヤーの集中力は目に見えて削がれていって、演奏会の後半ははっきり言って散々な状態でした。

超一流のプレイヤーの演奏ですら、本当にこういうことが起こるのです。

そして、良い演奏会、ステージではこれと逆のことが起こっています。演奏のテンションに観客はどんどん飲み込まれていって、観客の熱気が高まるうちにプレイヤーの集中力もどんどん高まっていって、アンコールを最高潮のパワーで締め括る。

最高に気持ちの良い空間と時間になります。

余談ですが、ライブハウスという場所に行ったことのない方はぜひ一度足を運んでみてください。あのステージと客席の近さにはコンサートホールとは違う独特の魅力があって、「聴衆と繋がる」という体験がとても深く味わえます。

また前置きが長くなってしまいましたが、それではステージの演奏家が観客と繋がるためにできること。次回から具体的に探求していきたいと思います!

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