批評家をやめよう

音楽が好きになればなるほど、楽器が好きになればなるほど、練習を一生懸命重ねれば重ねるほど、私たちは自分の演奏や自分の音楽に対して強い「こだわり」を持つようになります。

自分の演奏にこだわって、もっともっと良い表現を成し遂げたいと思うのはとても自然なことですし、練習のモチベーションアップにも繋がる前向きな望みでもあります。

けれど、気をつけておきたいのは私達の向上心はしばしば自己否定と表裏一体の関係にあるということ。

「もっと良い演奏をしたい」という願いがうっかり「○○がまだ悪い」という自分へのダメ出しと結びついてしまうと、上達に向けるべきエネルギーが「自分の悪いところ探し」に向いてしまいます。

「悪いところ」を直していけば演奏が良くなっていくはずというのは、理屈では確かにその通りなのですが、私達の意識というのはなかなか曲者で、「悪いところを探す」モードに入ってしまうと、今度は次から次へと「悪いところ」を見つけることで頭が一杯になってしまうことがあります。

こうなってしまうと厄介で、悪いところを直して自分の演奏をより良くしようという方向ではなくて、自分はあれも出来ていないしこれも出来ていないという現状分析ばかりが続いて、自分の演奏を心配したり、自分の演奏にがっかりしてしまったり、上達することとは逆の方向にどんどん気持ちが進んでしまいます。

自分の中に、自分の演奏を厳しく分析して批判ばかりする批評家が住み着いてしまうのですね。。

タンギングが悪いと思ってタンギングを練習する。そうすると、せっかく自分の思うようなタンギングに近づけたのに、その上達に目を向けずに今度はロングトーンの音程が悪いのではないかと気にし始めたりする。きりがありませんよね…。
自分の音楽、演奏へのこだわりや信念は大切にしても、自分に対する批評家にはならないでおいた方が良さそうです。

その代わりにお奨めしたいのが自分の演奏の「ファン」になってしまうこと!

ファンと批評家は似ているようでちょっと違います。どちらも演奏に対しては強いこだわりを持っているけれど、演奏の悪いところに目を向けてそこをついつい心配してしまうのが批評家ならば、演奏の大好きなところを見つけて、もっともっと良い演奏を聴きたいと期待してしまうのがファンですね。

現状を心配しているのが批評家で、将来にワクワクするのがファンとも言えそうです。

まず自分の演奏をしっかり楽しんで好きになること。大好きな自分の演奏を応援しつつ、
「もっと繊細なタンギングで発音したら面白いだろうな!」
と期待とワクワクを持って練習に臨んでみる。
「低音域のタンギングがなんだか雑で汚いなぁ」
とがっかりしながら練習するのと気分がずいぶん違いますよね。

楽しく元気に楽器に向かえていることに気づいたらもうこっちのもの。私達の心も体も、やりたいことを夢中で楽しんでいる時には一番上手に仕事をしてくれます。

練習だって、楽しく夢中になって取り組むことが一番です♪

☆今日の質問
次は自分の演奏に何を期待しますか?

自分の演奏の一番のファンになりましょう!自分の上達にワクワクしつつ、自分自身を温かく見守ってあげてくださいね。

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