今、この瞬間に居続ける
先日は久しぶりに楽器を持って行ってアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けました。
楽器を構えて演奏する前に、そもそも楽器の前に座るさらに前、楽器を椅子まで運んで、床に置いた楽器の前にただ立ったその時に何をしているのか。
先生に助けてもらいながら観察することで気づかされたのは「目的に走る」という私の根強い習慣のパターン(アレクサンダーの独特な用語で「エンド・ゲイニング」と言ったりします)でした。
「楽器を演奏する」というのは、当たり前かもしれませんがとてもとても強い目的意識です。もちろん、演奏するために楽器を運び、演奏するために楽器の前に立ち、演奏するために楽器を構えるのですから、この目的意識をクリアに持ち続けることはとても大切なのですが、この時「目的に走る」というパターンに陥ってしまうのは困りものでもあります。
楽器を演奏することで先に頭が一杯になってしまうと、今・この瞬間から自分の意識が乖離してしまいます。
楽器を運ぶ時も、本当には運んでいないし、構える時も、本当には構えていない。身体は使っているようでも自分の心は付いてきていない。心は音を出すことにとらわれていて「ここにあらず」の状態にあります。
演奏するという目的意識は持ちながら、今はただ楽器の前に立っている、今はただ楽器を持ち上げている、というような今・この瞬間にもしっかりと意識を持つと、身体の動きは明らかに変わりますし、身体が受け止めてくれる情報もより繊細になってくれます。
楽器に手を置いた時の金属の質感が感じられますし、楽器を持ち上げた時の重さを腕で支えているという重量も感じられます(テューバってやっぱり重い!!)。心がきちんとこの場にあることで、身体もしっかりと目を覚ましてくれるのです。
結果的に、最初の音を出すその時も、呼吸に伴う動きや、マウスピースに口をつける動きがより繊細に受け止められるようになり、出てくる音の繊細さも増していきます。
何だか禅問答のようですが、これは本当に大きな変化のきっかけをくれる気付きです。
「目的に走らない」という自分の在り方を探求するのに、楽器は必要ありません。
コーヒーを飲む時に、まずはただカップに触れてみる、iPhoneを使う時も、まずはiPhoneの重さを手で受け止めてみる。
今・この瞬間一つ一つに丁寧に意識を向けることで実践できることです。
ぜひ毎日の生活で試してみてくださいね。それもまた、音楽の糧になるはずです!
今回もお読みいただきありがとうございました!
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