ネガティヴな思考と戦わなくても良い
アメリカから来日中の素晴らしいバイオリン奏者であり、アレクサンダーの教師でもあるジェニファー・ロイグ・フランコリ先生のワークショップに参加してきました。
ジェニファー先生はバイオリニストとしてもアレクサンダーの教師としても成功したキャリアを歩まれている、大変魅力的な先生です。
今回のワークショップは主に音楽家を対象とした内容で、音楽家がより自由に、充実した心身を持って演奏するためのヒントをアレクサンダーのワークを通じて探求することが主題でした。
とても楽しく素晴らしいクラスで、ジェニファー先生の洞察には目から鱗ばかりでしたが、中でも私にとって印象的だったのが、演奏している時や日時生活の中で生まれる否定的な考えに対してストップをかける、Noを言うという実験でした。
簡単な思考の実験で、紙の真ん中に縦の線を引いて、参加者全員が自分が陥りやすい否定的で悲観的な考えを紙の左側に書き、右側にはその否定的な考えの反対を書いてみるのですが、ジェニファー先生がとても強調されていたのが、この時真ん中に引かれた「縦の線」に気づくことです。
右側に書かれたポジティヴで肯定的なアイデアに注目するよりもむしろ、左側と右側を分ける線があることに気づくこと。その線を自分が真っ直ぐに引くことができることに気づくことがアレクサンダー・テクニークのワークがいわゆる自己啓発的なメンタルトレーニングと大きく異なる点です。
もちろん、ポジティヴで前向きであることは大きな助けになってくれる姿勢ですが、自分の中に否定的で悲観的な考えが強く広がっている時は
「前向きに考えなくてはいけない」
と頑張り過ぎることが自分をかえって追い詰めてしまうことにもなりかねません。
悲観的な考えにとらわれないように、前向きに考えるようにと、自分の中の否定的な考えと夢中になって戦ってしまうと、そのこと自体に自分が囚われて疲れ切ってしまいます。
右側にあるポジティヴな思考のことをジェニファー先生は「美しい花」に喩えていらっしゃいました。
美しい花を部屋の中にたくさん飾り、花の美しさに注目しようとしても、部屋の中があちこち散らかっていたらやっぱりその部屋は自分にとって安心できる優しい空間にはなりません。
花を飾り立てる前に、自分の部屋の中を少しずつ少しずつ静かで綺麗な空間に整えていくことが必要な場面もあります。
自分の中のネガティヴな思考と戦うのではなく、まずはそれらを受け入れて、それから静かに、けれど毅然としたNoを言うこと。アレクサンダーのワークでは、自分の習慣にNoを言うことを「抑制」と呼びとても重視しています。このNoを言えることこそが、私達をより自由な在り方に導くきっかけになってくれます。
ポジティヴになるのはそれからでも良いのです。
自分の中の否定的な声に気がついて、それと争うことに疲れてしまったら、まずはその声があることを受け入れるだけで良い。焦らなくて良い。前向きになろうと頑張らなくても良いことも思い出してみてください^_^
今回もお読みいただきありがとうございました!
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