自分の使い方

_The Use of the Self_
という本があります。

アレクサンダー・テクニークの創始者であるF.M.アレクサンダーの最もよく知られた著作であり、教師を目指す訓練生や、本格的にこのワークを学びたい人にとっては必読書である最重要文献です。

日本語訳も数回試みられており、そのタイトルはそのままずばり『自分の使い方』。このタイトルはまさに、アレクサンダー・テクニークとは何を学ぶワークなのかという問いに対する答えになっています。

しかし、そもそも自分とは一体何でしょうか?

F.M.アレクサンダーは自分というものを驚くほどに抽象的で一般的なものとして定義しました。

毎日学校や仕事に行っているこのわたしは自分です。家族と過ごしている時のわたしも自分。ご飯を食べている時、歩いている時、友達と話したり、恋人と手をつないで歩いている時のわたし。苦手な隣人や上司と世間話をしている時のわたし。怒っている時も喜んでいる時も、悲しみに暮れている時も、瞬間瞬間に少しずつ違った顔をみせるこのわたしは全て「自分」なのです。

すなわち、私たちは生きているこの一瞬一瞬、途切れることなく常に「自分」を使い続けているのです。

では「使い方」とは何でしょうか?

繰り返しますが、私たちは生きている時間の全てに於いて、眠りについている時でさえ自分を使い続けています。

すなわち、あなたの「話し方」は自分の使い方の現れであり、あなたの「歩き方」も自分の使い方の現れです。

楽器の演奏の仕方やスポーツのフォーム、歌声の発し方も例外ではありません。全ての行動はあなたの「自分の使い方」から現れるのです。

これがアレクサンダー・テクニークの原理。このワークの中心にある考えです。

一見すると危ういほどの一般化に思えるかもしれません。けれど、アレクサンダーの築いたこの原理の正しさは常に証明され続けてきました。

あなたの「自分の使い方」が変わればあなたの歩き方が変わります。話し方も、歌の歌い方も、楽器の演奏の仕方も変わります。

音楽家にとって、楽器の奏法を学ぶことには大きな意味があります。けれど、音楽家が自分の使い方を学ぶことにはもっともっと広く深い意味があります。

あなたの自分の使い方が変われば、あなたの演奏が変わるだけでなく、音楽が変わるだけでもなく、あなたの生き方全てが変わり、あなたの周囲にいる人たちでさえ変わらずにはいないでしょう。

また、あなたは指使いに悩むピアニストかもしれませんし、呼吸に悩む歌手かもしれません。アンブシュアに悩み疲れてしまった管楽器奏者かもしれません。私たちが出会う課題や困難には数限りがありません。けれど、100の悩みに対して100の解決策はいらないのです。

答えはたった1つでいいのです。



あなたの自分の使い方が変わったならば、指使いは変わります。呼吸も変わります。アンブシュアでさえ自ずとよりよく変わってしまいます。ありとあらゆる課題や困難に対する、これが最後の答えなのです。

アレクサンダー・テクニークは「自分の使い方」を変えるワークです。そしてそれは、私たちの望む全てを変えるワークだと思うのです。

あなたは何を変えたいですか?

ぜひ、アレクサンダー・テクニークを体験してみてくださいね。


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