空気を振動させよう

音を出す。
という言葉には色々な意味が同時に含まれています。

金管楽器であれば、息を吐くこと、唇を振動させることが「音を出す」には含まれていますし、木管楽器であれば息を吐くこと、リードを振動させることがそこに含まれています。

弦楽器の場合や打楽器の場合、声楽の場合を考えるとそれぞれに違うものが当てはまるでしょう。

「音を出す」と一言で言ってもこれだけたくさんのことがそこに含まれているのですが、あらゆる場合で共通している要素が一つあります。それが
「空気を振動させること」
です。

あまりにも当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、音を出すというのはつまりは空気を振動させるということです。空気が振動することで音が空気中を伝わって耳の鼓膜に音を伝えてくれています。


管楽器を演奏する人は試しに
「空気を振動させよう」
という意図をもっていつものロングトーンを行ってみてください。

実験してみて分かることですが、多くの場合で「空気を振動させよう」と意図を持つことで音色が大きく変わります。

私たちの心身はとても精密に機能してくれるシステムで、意図を明確に持つとその意図を実現するように正確に働いてくれます。そしてその意図が具体的で、現実に実行可能であるほど、身体全部がそこに協力してくれます。

少しだけ脱線しますが、音色の指示で
「音を飛ばす」
という言葉を良く耳にします。

とても好んで使われている表現のように思われますが、実は私はこの表現の有効性にはちょっと疑問を持っています。

「音を飛ばす」
ってイメージとしては浮かびやすいのかもしれませんが、良く考えてみると具体的には何を意味しているのでしょうか?音は飛ぶものではなくて、波になって伝わるものです。当たり前ですが、掴んで投げ飛ばすこともできませんよね?

この比喩的な指示が上手く働いている人は良いのですが、「音が飛ばない」ことに悩んでいる人は、そもそも音は飛ぶのではなくて伝わるものだということを考えて、空気を振動させようという意図で楽器を演奏してみてください(^_^)

少し脇道に逸れてしまいましたが、身体は本当に意図したものを正確に実現してくれます。その意図が具体的で、現実に沿ったものであるほど、身体の働きもより効率的になっていきます。

「音を出す」という意図を、より具体的な指示にちょっと翻訳してみてその変化を観察してみましょう。

「空気を振動させよう」と意図するとどんな変化が起こるでしょうか。

ぜひ実験してみてください。

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