呼吸を考える〜③呼吸に関わる身体の地図作り!
前回まで二回の記事で、呼吸の可能性を探求するアイデアを紹介してきました。
アレクサンダー・テクニークと言っても、私自身の理解と経験というフィルターを経たものですから異論や反論も大いにあるかと思います。
色々なアイデアの中の一つのオプションとして読んで頂けたらと思います(^_^)
さて、今回最後に、アレクサンダー・テクニークのアイデアのもう一方の視点、意識の使い方ではない、身体の使い方の面から呼吸を探求したいと思います。
(アレクサンダー・テクニークではこの二つは本来不可分のものとして学ぶのですが、便宜上切り分けてご紹介していきたいと思います。)
呼吸のメカニズムについても、管楽器奏者であれば沢山の「奏法」を通じた知識を既にお持ちかもしれません。アレクサンダー・テクニークの学びにおいても呼吸はとても重要で多岐に広がるテーマの一つなので、ここでは多くを取り上げることはせず、私自身がレッスンや自身の管楽器の練習を通じて具体的に体験し学んだ、呼吸にまつわる身体の地図の知識を紹介したいと思います。
①息はお腹に入る?
基本的なことからまた始めたいのですが、息は一体どこに入るでしょうか?
正解はもちろん(?)「肺」ですね!
もう流石にあまりいないと思うのですが、私が中学・高校時代に楽器を練習していた頃は未だに「息をお腹に入れる」ためと称して何回も腹筋運動を繰り返すような練習メニューを課されることが結構ありました。
頑張れば割れた腹筋が手に入るかもしれませんし、筋トレ自体、別に害のあるものではありませんが、これが呼吸の助けになるかと言えば甚だ疑問です。そもそも「お腹に息を入れる」というのは比喩表現としてはある程度有意義ですが、機械的に、実際にお腹に息が入るわけではありません。
息を吸うメカニズムには横隔膜の上下運動が伴うことをご存知の方は多いと思いますが、横隔膜が下がる際に、内臓にある程度圧力がかかることでお腹が多少膨らむことがあるのだそうです。決して息によってお腹が膨らむわけではないのですね。
この点をクリアにしておかないと、
「息を吸うとお腹が膨らむ」
という現実が
「お腹を膨らませれば息が沢山入る」
というあべこべな理解につながってしまうことがあります。お腹が膨らむのは単純な結果であって、実は呼吸において絶対必須のノウハウなわけではありません。
もちろん、お腹が膨らむ「感覚」をヒントにして自分の有効なフルブレスを取り込める人ならば、こうした現象を呼吸の手順として意識してみれば良いでしょう。役に立つアイデアならどんどん活用するべきです!
でも、一生懸命に「お腹を突きだそう」と力を込めていて、結局呼吸が妨げられている初心者の中高生もいたりするのです。お腹をいつも意識しているのに、息が十分に吸えていないと感じる人は、一度このアイデアは脇に置いておいて、単純に(「お腹」ではなく)「胸」の中にある肺に空気を取り込んでみることを意識してみることをお薦めします。思っていたより楽に沢山息が吸えることに気がつくかもしれません^_^
②肺はどこまで広がっているでしょう?
皆さんは人間の肺がどんな形、どんな大きさかご存知ですか?
意外に感じる方もいるかもしれませんが、実は肺は鎖骨、上にまで広がっています。なんとなく肋骨の内側に肺が広がっているイメージがある人でも、自分の肺は鎖骨よりずっと下までしかないと思っている方が多いのではないでしょうか。身体は自分のイメージにとても忠実に、高精度に働いてくれますから、実際より小さなサイズしか持たない肺をイメージしていると、現実にも肺を使いきれないまま呼吸してしまうことが有り得ます。
それと、肺の実際のサイズを理解すると、これも昔は良く聞かれた指導で、息を吸うときに肩が上がってはいけないというのも、実はあまり根拠がないことが分かって頂けるかと思います。実際にオーケストラの一流プレイヤーの演奏を映像で見たりすると、かなり肩を上げて息を吸っている人も沢山いることも分かるでしょう。お腹は膨らませるのに肩は持ち上がってはいけないというのはちょっと考えると変な気がすると思うのですが、これも長年あたりまえのように教えられ続けると意識の盲点になってしまうようです。
是非一度、人間の肺の大きさを実際に見て「イメージ」を調整しながら呼吸を見直してみてください。
(教育素材用に無償利用できる資料です。ちょっと生々しい画像なので苦手な方はご留意ください。)
③息の通り道はどこでしょう?
最後に呼吸に関わる身体の地図としてもう一つ、気管の場所を紹介させてください。息が気管を通るということはご存知の方が多いと思うのですが、さて気管というのはどこにあるのかご存知でしょうか??
白状すると私もこのマッピングについては曖昧模糊な上にてんで間違った理解を持ってすませてしまっていました。
百聞は一見にしかずということで、気管のよくわかる図を紹介させて下さい。
(同じく結構生々しいのでご留意くださいね…。)
ご覧になって、どんなことに気がつきますか?そう。気管は実は喉の「前」側にあるんですね。
私自身のことを言うと、先ず「食道」と「気管」が別にあるということも実はなんとなくしか理解していませんでした。。その上、息の通り道が実際よりずっと喉の「奥」にあると思い込んでブレスしていたのです。息が通らないところに息を通らせようとしていたのですね。。
「現実」の息の通り道を理解することで、息がずいぶん吸いやすく、吐きやすくなることもあるかもしれません。これまで気にしたことのなかった方は是非この点も意識してみてください。
人間の身体器官はとても理にかなった精巧なデザインをもっていますから、その仕組みに沿った使い方を意識することで、パフォーマンスを最大限に発揮することができます。ごく一部しか紹介できませんでしたが、呼吸に纏わる身体の地図を、ご自身のイメージに取り入れて実験してみてください!
息が吸いやすくなったり、音が出しやすくなったという方はぜひぜひコメントをお聞かせください(^_^)


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