聴衆を招待する
前回の記事では、楽譜だけではなくお客さんとの関係を豊かで建設的なものにすることが大切ということを書きました。
ステージと客席が強く繋がっているとそれだけで演奏にパワーがもらえます。
では聴衆との繋がりを築くために具体的にはどうしたら良いでしょうか。
実はアレクサンダーのアイデアからとても簡単なプランを導くことができます。
ずばり
「お客さんをこの演奏に招待しよう」
という意図を持つこと。ただこれだけですが、確実に演奏が変わります。
もっと具体的に言うと
「この曲のこの音を出すことでお客さんを招待しよう」
と常に自分の意図を明確にしながら演奏するのです。
演奏以外の分かりやすい例もご紹介しましょう。
私は最近のアレクサンダーのレッスンで、ちょっとした実験と楽しみも兼ねて「本を朗読する」というアクティビティをみてもらっているのですが、発音を良くする、声を良く聞こえるようにするための具体的なアイデアも少なからずあるのですが、面白いのが単に
「声を出すことでお客さんを招待する」
という意図を持って朗読すること。
やってみると自分でも驚いたことに読むペースや声の大きさが自然に聞きやすく伝わりやすく変わっていきます。特に、「ゆっくり読もう」としなくてもお客さんを招待するという意図をクリアにするだけで明らかに読むペースがゆっくりになることに驚かされました。
レッスンしてくれた先生も
「ゆっくり読もうとは言わなかったけど、お客さん一人一人に関心を持ってみる。お客さんの表情に目を向けてみる。そうしただけで自然に読むペースは変わったでしょう?」
といたずらぽい笑顔で説明してくれました。
演奏にも同じことが言えます。楽器や楽譜が要求するテクニカルな問題は数多くありますが、実は
「お客さんに音楽を伝える。お客さんを招待する」
という目標と意図が明確になることで、個別の問題には自ずと答えが与えられてしまうことがある。そのくらい私たちの心身は「やりたいこと」に柔軟に対応してくれるのですね。そうして奏でられる音楽は演奏する側にも聞くお客さんにもより親しみやすい響きになっていくはずです。
このシンプルなプラン。ぜひ練習でもリハーサルでも、そしてもちろん本番でも繰り返し実験してみてください!


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