習慣の声に耳を傾ける
アレクサンダー・テクニークの原理において重要な要素の一つに「習慣」があります。
アレクサンダー・テクニークのレッスンを通じて、生徒はより良い「自分の使い方」を学んでいきます。これは、単なる身体の使い方でもなく、単なる心のマネジメントでもありません。心と身体の両方を統合した概念としての「自分」をどのように使うのかをレッスンでは学んでいきますが、この時に学習の課題の一つとなるのが自分自身の習慣です。
特定の刺激に対して、どのように反応するのか。極論すると、私達が生きているということは絶え間なく刺激に反応しているということでもありますが、「習慣」がこの反応を支配している時、「自分の使い方」を損ねて反応してしまうことがあります。だから実は、自分を変えたい、自分の使い方を変えたい、自分の反応を変えたいという思いに対して、まずはいつも自分がどのように反応しているのかという「習慣」を観察して分析することから始めなくてはいけないというのがアレクサンダーさんの発見でした。
こう書いてしまうと何だかとても当たり前のことを言っているように感じられるかもしれません。実際、とても当たり前のことなのですが、アレクサンダーのレッスンではこれを非常に深く繊細なレベルで探求するのです。そもそも、それが自分の「習慣」であることを自覚していないことも少なくありません。だからこそ教師の助けが必要となり、アレクサンダーさんも鏡を必要としたのです。
さて、長い前置きになりましたが、レッスンで習慣に取り組むという時にはちょっと注意したいことがあります。
「良い習慣」、「悪い習慣」というものさしを良く耳にします。意地の悪い言い方をすれば、こういうものの見方自体がずいぶん習慣的だなという気もしますが、テクニークを学ぶ上では、習慣を「良い」「悪い」で評価することはありません。レッスンの結果として、悪い習慣がなくなり良い習慣が身についたように見える、特に、身体の習慣の具体的な表れである「姿勢」の変化が見えるというケースもありますが、それは本来はレッスンの結果であって目的ではありません。もちろん生徒のニーズは様々なのですが、このワークに臨む上では、姿勢や習慣を「良くする」こと自体が目的ではないということは理解しておくべきでしょう。
そもそもそれ自体絶対的に「良い習慣」とか「悪い習慣」と呼べるものはありません。一般的には「悪い習慣」と判断されてしまうものも、当人にとっては必要性があってポジティブな意図で身についたものだったり、もっと言うと、実はその人の置かれた状況においてはそれが現実に何かの役に立っている「良い習慣」であることもあります。
どんな習慣にもその習慣なりの背景や事情というものがあります。そういう事情に目を向けずに力づくで習慣を「矯正」しようとしても徒らな努力に終わってしまうことが少なくありません。それに、そういう態度は実は自己否定的で自罰的でもあります。真面目な人ほどこういう態度になりがちですが、これは結局は不必要な緊張の種にもなりかねません。
本当に時間をかけたいのは習慣が身についてきた背景、理由、状況をしっかりと理解すること、その上で、「今・ここで」何を選択したいのかを自覚することです。習慣にはそれなりの歴史もあって、例えるなら身の上話といえるようなストーリーがそれぞれにあります。
自分の習慣に対して良い・悪いの評価をせずに(繰り返すと、本当はそもそもそんな評価はできないのですが)まずはじっくりと自分の習慣に気づいて、習慣の声を聞き、コミュニケーションを取ることが学びのスタートになります。
教師が助けてくれることは沢山ありますが、自分一人でも探求できることも少なくありません。自分がいつも習慣的に行っている振る舞いを、良い・悪いのレッテルを付さずに観察してみましょう。それだけで自分を理解することになり、自分がやりたいことを知る手がかりにもなり、何をしたいかするべきかどんどんクリアになっていくはずです。
探求してみてくださいね!^_^
今回もお読みいただきありがとうございました!
ブログへの感想、コメントお待ちしております!
yasutakatonoike@gmail.com
☆音楽家の方に向けたメルマガ:音楽を楽しむ人のためのアレクサンダー・テクニーク
も絶賛配信中です。
ご購読はこちらから
よろしくお願い致します!!


コメント
コメントを投稿