本番で緊張するということ
本番で緊張してしまい、あがってしまって思うように演奏できないということに悩む演奏家は少なくないようです。
今回はこのお悩みについて少し考えてみましょう。
せっかく一生懸命に練習したのだから、あんなに努力したのだから、本番もいつも通りの力を発揮したいと望むのはとても素直で自然なことに思えます。
けれど、少し思い返してもらいたいのですが、そもそも練習と本番では自分を取り囲む周囲の環境が全く違います。
目の前にはお客さんがいて、いつもと音響がまるで違うホールがある。照明もあれば床も違いますし、自分の着ている衣装だって違います。普段は夜に練習しているのに演奏会が昼間に開演する場合は身体のコンディションもずいぶん違うでしょう。
私達の心も身体もとても繊細に周囲の環境から情報を受け取って、それに適応しながら反応しています。
普段と違う環境にいるとき、私達の心身はちゃんといつもと違う反応をしてくれています。その状態で、普段と同じように演奏しようと試みることには元から無理があるとも言えます。
そもそも、普段の練習でも本当はいつも同じように「普段通り」ということはなくて、毎日少しずつ違った自分のあり方で演奏しているはずです。
本番で練習と同じように、いつも通り演奏したいという望みは残念ながら現実的ではありません。
本番は練習とは違うというのが現実です。
その前提に立って、もう一度考えてみて欲しいのが、「本番でどんな演奏がしたいのか?」という根本的な望みです。
少し思い切った言い方をしますが
「緊張したくない」
というのは本当の望みではありません。本当の望みは緊張しないことではなく、緊張から自由である時にどんな音楽を演奏したいかという点にあります。
「緊張したくない」、「いつも通りに演奏したい」と考えるよりも緊張している時も緊張していない時も、自分が目の前の楽譜からどんな音楽を演奏したいのかをとことん明確に、具体的に考える方が現実的な改善が望めます。
「緊張しないこと」をゴールにするのではなく、「自分が演奏したい音楽」をゴールにしてみてください。楽譜をもう一度見直して、自分の演奏するフレーズをどのように歌いたいのか、強弱やイントネーションをもう一度具体的に明確にする準備をしてみましょう。
その準備が結果的に緊張に対処するプランにもなってくれるはずです^_^
本番であがるということについてはまた別の記事でも書いてみようと思います。
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