「金管奏法」の落とし穴

世の中には金管楽器の「奏法」として知られている有名なメソッド、トレーニングが結構あります。

クラウド・ゴードンが唱える金管楽器演奏の原理や、ルイ・マジオの流れを汲むいわゆる「マジオ・システム」等が有名でしょうか。カーマイン・カルーソー・メソッドというのもありますね。

私自身はマジオ・システムはかなり真剣に取り組みました。これは師匠がとても丁寧にマジオを指導してくださったことが大きく、今も個人練習の半分くらいはマジオ・システムのトレーニングに充てています。

さて、この手の「奏法」について不思議といえば不思議なのが、こういうメソッドをかなり熱心に勧めていて、実際にこれで演奏が大きく改善された人がいる一方で、教本や先生の言う通りに取り組んでいるのに期待した効果が得られない人も少なからずいることです。

こういう「矛盾」に対してよく私が耳にしたのは「●●の奏法は間違っている」というような別の流派からのやや感情的な否定であったり、「結局は才能の有無」というような残念な意見でした。

ところでこういう各流派の唱えることを見直してみると、実は意外なことに原理的にはどれも「同じこと」を言っていたりします。考えてみれば当たり前で、機械的に楽器と人体の関係を分析していくと、結局みんな「仕組みは同じ」でその「伝え方が違う」ということなのかもしれません。

ある奏法が効果をもたらして別の奏法がいまいちだったというような話の根っこにもこの問題があるような気がします。同じ理屈でも、伝える言葉や使われる譜面がその人の身体に「通じているかどうか」がとても重要なのではないかと思うのです。

そしてさらに重要だと思うのが、こういう奏法が唱えるトレーニングを「どんな心身の質で行っているか」という点です。

マジオにせよゴードンにせよ、舌や唇と発音の仕組みに関する「部分の分析」はとても有用な知識だと思います。問題なのは、取り組むうちに、こういう部分にばかりつい注目してしまい、自分の心身全体への注意が損なわれてしまうこと。唇や舌のことばかりに意識が向いていてガチガチに固まってしまったりするのです。そして困ったことにこういう金管奏法のどれも自分の使い方についてはあまり系統立てて説明してくれていません。残念…~_~;

さて、、前置きが長くなってしまったのですがこの自分の使い方を学べるのがずばりアレクサンダー・テクニークではないかと思うのです♪

敢えて言えば、「金管楽器の吹き方」というより「『金管楽器を吹いている自分』の使い方」を学ぶのがアレクサンダーのワークです。

「頭と脊椎の関係が身体全体の機能に影響する」
ことに注目することで、「奏法」をより効率的に、そして自分に理解できる道筋で学べるようになるはずです。

音楽家がATを学ぶ大きなメリットがこういうところにあると思うのです(^_^)

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