テューバのためのアレクサンダー・テクニーク〜椅子に座ろう_前編

たまにはアレクサンダー・テクニークと楽器の演奏について書いてみようと思います。

テューバという楽器はとても大きく重たいですから、基本的には椅子に座って演奏することになると思います。テューバを吹く人にとっては、他の楽器の演奏者以上に、椅子に座るという動作が大きな意味を持っているように思います。
もちろん立奏することもあるでしょう。最近はとても軽くコンパクトに作られた小中学生でもラクに持てる楽器などもあります。ここではあくまでもとりあえず一般的と思えるパターンとして、座奏することを挙げさせてください。

さて、楽器を構えて吹く前に、あなたはいつもどのように椅子に腰掛けていますか?

深くお尻をつけて、少し背もたれに寄りかかるつもりで「リラックスした姿勢」で座っているでしょうか?それともやや浅く座って、背中を真っ直ぐに伸ばした「いい姿勢」で座っているでしょうか?

こう問われてご自分の姿勢がどうなっているかなと気になった方、或いは普段は全く気にしたことがないなという方はぜひ、ほんの少しだけ自分がどうやって座っているのか、どう座りたいのかをもう一度考えてみてください。考えてみる価値がきっとあります。
ジーッと考え込む必要はありません。ただ、「今日はこれからどうやって座ってみようかなー?」と自分に問いかけてみてほしいのです。

この時、気をつけて欲しいのですが、テューバを吹くために「正しい座り方」は一つではありません。先生や先輩が教えてくれた座り方、教則本に写真が出ていてとても分かりやすかった座り方が、あなたにとってテューバを吹くのに適した座り方であるならば、もちろんそれに従って楽に椅子に腰掛ければ良いのです。けれど、もしその座り方があなたにとってテューバを吹くのに適さない座り方であるならば、あなた自身を座り方に合わせる必要はありません。それはたまたまあなたにとっての「正しい座り方」ではなかったのです。何だか当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、演奏を学ぶ時に「正しさ」を自分の外に見つけようとして、その「正しさ」の中に自分を押し込んでしまおうとする人がとても多いのです。もちろん教則本のアイデアや先生の教えは、沢山の経験や知識が重ねられたとてもとても便利で有用なものです。でも人間はみんな一人一人違う生き物ですから、あなたが教則本に出ている通りの身体と心を持ってテューバに向かっているわけではありません。
あなたはあなただけの身体と心(自分がどんな気分、どんな感情で今日楽器に向かっているのか、身体だけではなくて心の在り方にも目を向けてみてくださいね)を持っているのですから、「正しい座り方」(そもそもそんな正しさなんてあるのかしらとちょっと疑問を持ってもいいかもしれません)はあなた自身が探求しなくてはいけません。教則本や先生の教えは素晴らしいヒントですが、「答え」ではないのです。

そして、実は心配しなくても、あなたにとっての良い姿勢も本当はあなた自身が知っているはずなのです。

座り方の導入が長々続いてすみません(苦笑)でも、長ったらしいなぁと感じた方は是非もう少しお付き合い下さい。そう感じている方にこそ少し時間をかけて考えて頂きたいのです。
次回に続きます)


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